貴女のその囁きが、吐息が、嬉しくて。


サンクフレシュ製薬会社のCEOである彼は今、頭を抱えていた。
「・・・・・・全く・・・・。どうしてこうもやる事があるのでしょうか・・・。」
そういいながら生まれたての子猫のように柔らかい、金色の細い髪の毛を惜しげもなくグ
シャグシャとかきまわしていた。
珍しいくらいに彼にしては『今日』の仕事がはかどっていない。それを証明するかのよう
にデスクの上には、書類が山積みにされてしまっている。
いつもならとっくに終わっている量である・・・・。
『もう少しでが来てしまうのに・・・・』
時計を見つめると、雲ひとつない日の空のような美しい碧をした瞳に暗い影が落ちる。



彼が待つ廊下を部屋へと駆け足で歩いていく。彼の部屋までは長いから、いそいで行かな
いと・・・・。
長い廊下を歩き、ようやく彼の待つ執務室兼私室の大きな扉の前にようやく着いた時、初
めて時計を確認すると、約束の時間より30分も前に到着してしまっていた。
「どうしよう・・・・。でもいつもソロモンはお仕事早いし、邪魔しないから見させても
らおうかな・・・・。」
そう思って思い切って扉を叩いた。
(コンコン・・・・)
控えめなノックと共に、ドアの隙間から顔を覗かせると、すぐに目的の人物を見つける。
「ソロモン・・・・?あっまだ・・・仕事の途中だったかな?少し・・・早かったもんね。
ごめん。でなおす・・・きゃっ!?」
めずらしく机にたまっていた書類に目をやり、慌ててそう言ってきびすを返すと、何もな
い空間のはずなのに、何かに思い切りぶつかってしまった・・・・。視線をあげればそこ
にはすでにソロモンが立っていて、笑顔で私を出迎えてくれた。
「かまいませんよ。」
「でも・・・」
仕事の邪魔をした事を気に病む私を慰めるように優しく頬をなでる。
「・・・・いえ。むしろ傍にいてください。。・・・・恥ずかしながら、どうも
来るのが楽しみで仕方なかったみたいです。普段は何て事ない量なんですけど・・・・あ
の通り、さっぱり手がつきませんでした・・・。」
机の書類を目でさすと『今日はやめちゃいましょう』などといいだしてきた。
「えっ!でも仕事・・・・・!」
「いいんですよ。だって、仕事は後でもできますけど、と一緒にいれる時間は僕
にとっては、ほんの一握りの時間ですからね。」
やんわりと笑顔で『僕はシュヴァリエですから、ねれないので時間だけは、たっぷりとあ
るんです。』というのが入った寂しい笑顔だった。
「あ。すみません。を立たせっぱなしにしているだんて・・。どうぞこちらに。」



エスコートされて『どうぞ』とソロモンに椅子を引かれて座った先は、テーブルの中央に
黄色い花が飾られていた、小さなリビング。さっきまでいた執務室や、いつも連れて行っ
てくれる先はとても豪華な処だったから、CEOである彼がこんな所を自分のスペースと
して持っているのがとても意外に感じられた・・・・・。
「あんまりじろじろ見ないでくださいよ。。ここには誰も入れた事がないんで本当に
体裁とか取り繕ってないんです。」
とても意外でキョロキョロしていた私の目を覆うように、ソロモンが後ろから抱きしめる。
「ちょっ・・・・ソロ・・・」
「ここにお通した方は、が初めてです。ようこそ。・・・・クスッ。そんなに意外で
したかね?女性が憧れそうな場をセッティングしてもよかったんですけど・・・・・」
私の耳元で囁きながら、目を覆っていたゆっくり腕をほどいた。
「僕の普段の顔も知って欲しいですから・・・・・」
私が掛けている椅子のすぐ横のテーブルに手を置いて顔を近づけながらいうものだから、
ソロモンの甘い声と綺麗な碧い瞳に惹かれるように目を閉じる・・・・。
「・・・・・・っなーんて思ってしまいました。ふふっ・・・・・・いけないいけない。
ついつい大人の時間にいきそうになりました。」
意地悪をするかのように、身体を引き離す。
『・・・・。キス、されると思ったのに・・・・。』
「・・・・・・」
なんだか自分ばかりが振り回されてるみたいで面白くない。
がたんっと席をたって驚いてこっちを向いたソロモンの方を向き、
「ソーロモンッ♪ふー。」
仕返しとばかりに机に腰かけていたソロモンの耳に息を吹きかけてみると、耳まで赤くし
て驚かれてしまった。
「!!・・・・・っっ!!そんなかわいい事しないでください!!・・・・理性がと
んでしまいますっっ!!」
耳に手を当てて顔を真っ赤にするソロモンがあまりにもかわいかったから、ついそのまま
口に出してしまった。
「ソロモン・・・・・顔赤くしてかわいいっ♪ 」
暫く何か言いたそうに口をパクパクさせていたけれど、観念したのか大きなため息をひと
つ吐いて苦笑いを浮かべていった。
「・・・・・僕に「かわいい」なんて言った方は貴女くらいなものですよ。。」
「だって、悔しいじゃない!!いつも言葉攻めくらってばかりで・・・・。」
「・・・・・それで耳に息・・・ですか。貴女って人は・・・・」
まだ赤い顔を押さえながら話すソロモンに初めて少し勝った気になれた。
「・・・・ふーんだ。少しは赤くなった方がいいんじゃないですかぁ?」
「・・・・なんだ。そんな事心配なさらなくても、僕が貴女に勝てたためしなんて一度も
ありませんよ?」
軽く目を見開いてからすぐ満面の笑顔でソロモンが答える
「・・・・・それを言ったら何も仕掛けられないよ・・・。」
ソロモンを正視できなくて視線を泳がせていると、ソロモンがゆっくりと私の前でかがみ
こむ。
「僕は貴女のしもべであり、奴隷であり、忠誠を誓ったものですから。僕が貴女を愛した
時点で、僕の負けは、確定してるんですよ。」
そういいながら私の手を恭しくとり、キスをした。
「・・・・・っ。」
・・・ソロモンはずるい。いつもこうやって自然に私をいとも簡単に『その気』にさせて
しまう・・・・。今回も結局こうやって負けてしまうんだ・・・。
「・・・・・・」
降参の意を込めてソロモンに視線を送ったのに、ソロモンは笑顔ですっとぼけて質問を返
してきた。
「どうしました?」
普段の優しい彼の『にっこり』な笑顔ではなく、明らかに意地悪をしている顔で、きいて
くる。
・・ソロモンって時々ほんと意地悪だ・・・・。
「あぅ・・・・・・・・。」
してほしいけど・・・・『して』なんていえないよ・・・。
「・・・・ふぅ。・・・・・言葉が苦手なら、態度にだしてくだされば、いいですよ?つた
わりますから」
「・・・・・・〜〜〜〜〜!!一緒に寝てください」
ソロモンが言ってくれたのと、私が勇気を出して言った言葉はほぼ同時だった。
「・・・・・それは・・・・どっちで受け取ればいいですか?」
分かってるくせに。分かっててどうしてこんな意地悪な質問するんだろう。
その証拠に口の端には笑みが浮かんでいる。
「添い寝で結構ですから!」
きっと顔は真っ赤になってるに違いない。
「なんだ・・・」
明らかに落胆した顔。
「それならいつもと変わりませんね。」
ため息と共にぼそりと付け加えられた言葉。でもこれは幸か不幸か、私の耳には届かなか
った。
「じゃぁ・・・」
早速。とパァッと笑顔になった私を見てソロモンも笑顔を浮かべながらテーブルの後ろに
ある4人は軽くかけれるであろう大きな白いソファーを指さした。
「まぁ寝るには早いですから、とりあえずソファーにでもかけますか」



私の手を引き、ソファーまで行くと真ん中にソロモンが座り、開いている右側のスペース
をぽんぽん叩いて『こっちおいでおいで』と手招きする
「・・・・・・どうぞ?」
「有難う。・・・・・・・・シュヴァリエは眠れないから、寂しいね。」
隣に座ってそのままソロモンの肩に頭を預ける。
「・・・・・貴女の・・・・・。いえ、の寝顔が、みれますから。飽きませんよ。」
私の髪を指で梳かしながら、優しい声で話す。
その言葉が嬉しい。
私がソロモンの、一見細い様でいてしっかりと筋肉がついている彼の身体に抱きつくと、
私の頭に顔をうずめるようにしてきて髪を一房つまんで口付けた。
「・・・は太陽の匂いがしますね。暖かいです。・・・・・?」
私がぼーっとしているので心配になったのか、顔を覗きこんできて声をかけきた。
『これって・・・・夢、じゃないよね?・・・・ううん。夢かもしれない・・・・。きっ
とそう・・・・。』
「・・・・夢なんかじゃ、ありませんよ。」
まるで私の心を見透かした様に、優しく否定してくれる。夢見心地な『今』が現実なんだ
と。でも・・・信じられない。もっとちゃんと感じたい。はっきりと確かめたい・・・っ!
「このまま・・・ね・・・・・」
「はい?」
「・・・・・・」
ついうっかり思ったまま口にだしてしまったから、ひっこみがつかなくなってしまった。
でもこんな気持ちは、恥ずかしくて言えないからソロモンの視線から逃げるように俯く事
で隠す。
「なんでしょう?・・・・・ちゃんと・・・・言葉にだしてください。」
そっと私の顎をもちげて目線を合わさせようとする。
「・・・・ソロモン言わせるなんて・・・意地悪・・・・。」
「言葉に出したのをききたいんです。・・・・・やっぱり・・・。いうのは・・嫌、ですか?

切なそうな顔をしながらそっと私の手のひらを握って言うのは、反則だと思う・・・。
「むぅ・・・・・。〜〜〜〜・・・・・・やろっか・・・。」
観念して私が言葉を吐き出すと、とても嬉しそうに笑いながら『よくできました』と私の
おでこにキスをした。
「ふふっ。かわいいですよ・・・。意地悪ばかりしちゃいましたね。お詫びにたっぷ
りと『イイコト』・・・しましょうか?姫君?・・・・よいしょ」
「きゃっ!?」
そういうとソロモンは私をお姫様抱っこをしたので怖くなってソロモンの首にしっかりと
しがみついてしまった。
「くすっ。・・・苦しくはないですが・・・前が見にくいですよ・・・。・・・・?」
「・・・・あったかい」
「冷たい。と言われるかと思いましたが・・・」
「ソロモンはあったかいよ。シュヴァリエでもあったかいよ。」
「・・・・そうですか?ふふっ。嬉しい事言ってくれますね」
少し照れたような声。怖いから首にしっかりしがみついてる形になってる今、ソロモンの
顔が見れないのがすごく残念。
「いつもありがとうね。」
「僕の方こそいつも貴女のあたたかさに救われていますよ。」
「・・今日はいつも以上に暑くなりそうだけど」
ボソリと付け加えた私の言葉は、ソロモンには届いていたのか、いなかったのか・・・・。
彼の表情からは読み取れなかったし、そんな余裕は正直なかった。
「とりあえずこのままではなんですから、ベットのある隣の部屋まで移動しましょうか」
返事の代わりにコクリと相槌をかえすと『落ちないようにしっかりと掴まって下さい』と
耳元で囁かれた。
『瞬間移動でもするのかな・・・』そんな考えが頭をよぎった時、やっぱり考えを読んだ
かのように正確に答えをかえしてくる。
「ふふ。それではの身体が壊れてしまいますよ。貴女は人間ですし・・・。
ゆっくりと、ベットまで歩いて行きましょう?」
このお姫様抱っこのままとなりの部屋までなんてとんでもない!!大急ぎで否定した。
「恥ずかしいから普通でいいよっっ!!」
「そうですか?じゃあ二人で歩きますか?」
子供がすねるみたいな声でソロモンは残念がったが、隣の部屋までお姫様抱っこだなんて
とてもじゃないけど心臓が持ちそうにない・・・・。
ゆっくり私を地面に降ろしてくれたので、手を繋いで隣の部屋まで歩く事にした。
「ありがとう。ソロモン、手がすべすべしてるね」
ホントに男性とはとても思えないほどすべすべ・・・色も白いし・・・・。そう思いなが
ら手を何度も触っていると『貴女の手がなめらかだから、そう感じるだけですよ』と切り
かえされてしまった。
「・・・はっ・・・はずかしい事本当によく言えるね。私ソロモンの顔上手く見れないよ・・・
っ!!」
ソロモンは、全くわからない。とでもいうように軽く首をかしげて『日本人は奥ゆかしい
んですから・・・・。』と笑いながら私の頭をなでた。
「でも、見て欲しい時はちゃんと僕の顔をうつしてくださいよ?」
たとえば今とか。と言外にその瞳は、語っていた。
「わかった。あの・・少し目閉じてくれる?」
さっき『見てくれ』と言ったばかりなのにヤレヤレ。本当にシャイな方だ・・・。と肩を
すくめつつ言う通りにしてくれる。
「?はい?・・・・・閉じましたよ。・・・・?」  
私に怪訝そうに声をかけてきたが、約束通り律儀に瞼はつぶったまま。・・・・・こうして
瞼を閉じたソロモンの顔は本当に整っていてまるで本物の人形のようだ。金色の髪は太陽
の光をうけてきらきらとかがやいている。
ふっくらとした形よいピンクの唇は男性のものとは思えないほどだ・・・・・。
その唇に誘われるように自分のそれとを重ねる。
「!」
まさか私からされると思ってなかったらしいソロモンが目を大きく見開く
「・・・・少しは恥ずかしさも取れるかなぁと思って。」
「・・・・・・・貴女って人は・・・・」
「少しはソロモンも照れたらいいんだよ」
あっけにとられていたソロモンだが、私のぺロッと舌をだした表情をみてふふっと笑う。




ようやく隣の部屋の前まで着き、『どうぞ?』とソロモンがドアを開けてくれる。
「はい。着きましたよ。僕の部屋でもうしわけありませんが・・・・」
「ソロモンの匂いがするね・・」
「?何か匂いますか?香などは置いていませんが・・・」
真剣に悩んで周りをくんくん嗅ぐソロモンの姿が何だかかわいくてつい、くすくすと笑う。
私に笑われた事にどんな表情をしたらいいか困っていたから続けて声をかけた。
「ソロモンの上品な香りが薄く香ってて。」
『ソロモン大好き♪』とソロモンに抱き付いた。
「じゃあ今度からこの部屋にの匂いも残してくださいね。」
抱きついた私の髪を優しく撫でて抱きしめ返してくれた。
「そういわれると汗が気になる・・・」
「ははは。女の子ですね。そんなのはかいて自然なものですよ?運動すれば尚更。」
「シャワー浴びてきます!」
『運動』という言葉に過剰に反応してしまって身を硬くする。
「はいどうぞ。中にある物はなんでも使ってくださって結構ですよ。あちらにバスルー
ムがありますから。・・・・・・大丈夫ですよ。そんな顔されなくても。流石に『一緒に入
りましょう』とはいいませんから。どうぞごゆっくり。があがってくるまで、ここに
いますから。」
「!?はい、行ってきます・・・。」
の湯上り姿、楽しみにしてます」
「〜〜〜〜〜〜・・・もぅっ!」



ソロモンのバスルームはやはり大きかった。全身が伸ばせるお風呂とか想像していたが、
とんでもない。そう思い返せば返すほど、さっきのリビングは庶民的だ・・・。
やはり後の事を考えて、いつもより丁寧に洗ってしまう自分に自己嫌悪する。
お風呂から出て、着替えをしていると、ついこの後の事を考えて自然と身体が火照ってし
まった。
いくらごまかしても身体は『これから』を考えてしまっている。
証拠にブラジャーを止めようかどうかという手が止まっていた。
「もぅ!そんな事考えないの!!」
ごまかすように急いで身支度をして外へでる。
「・・・・・・上がりました。」
「・・・早いですね。驚きました。」
『もっとゆっくりかと思っていました。・・・・・・しかしバスローブ姿、いいですね。ソ
ソられますね。。』笑いながら言うものだから真っ赤になって怒ると私から逃げるよう
に口早に
「じゃあ僕もいきましょうかね。僕はシャワー派なんで元々早いですよ?ではいってきま
す」
『貴女を待たせたくないですからね。』と頬にキスをしてきた。
「ごぉ・・・・・」
「イイ子で待ってるんですよ?じゃあ」
「ちゃんと待ってますから行ってください!〜〜〜・・・むぅ」
バスルームに向かうソロモンを見送りながら、さっきキスされた所を触る。



「・・・・お待たせしました。・・・・どうしました??」
カチャリとドアノブが開く音がしたのでドキドキしながら振り向くと、そこには当然ソロ
モンがいて・・・・。いたけど・・・・あまりにもその姿が刺激的すぎて直視できずにつ
い目線を泳がせる。
「・・・・どうかしましたか?・・・・なんか様子が変ですよ?何かありましたか?」
タオルで髪を拭きながらこちらに向かっていたソロモンが、私の様子に気付いて怪訝そう
な顔をする。
「ソロモンなんで上半身むき出し・・・。目のやり場に困るよ・・」
「へ?あぁ。すみません。いつものクセで・・・・バスローブくらい、きちんとは
おるべきでしたか?・・・・・でもこれからじっくり見るんでしょう?いまのうちに慣れ
てください。って言ったら怒りますか?ふふ」
そういってせまるように近づくソロモンを思い切り手を伸ばす事で拒絶する。大きく胸元を
はだけさせて上がってきたソロモンの姿はとてもいろっぽすぎて正視できない。と真っ赤に
なって訴えると、ようやく気付いたように自分の身体をみて胸元を直しながらごまかすよう
にぽりぽりと頭をかく。
まだ正視できずに明後日の方向を向いている私の視界内に無理やりきて、『慣れろ』だなん
て全く無茶な要求だ。
「ね、ソロモン・・・・」
立ち上がってソロモンにキスをしたのに、もぅ彼は赤くなってはくれなかった。
『なんだ、もう効かないか・・・』と残念そうな表情が顔に表れていたのか、彼はくすりと優しく
笑ってべットに腰をかけ、立ち上がったままの私の手首を掴んで誘う。
「はい?ふふっ・・・・・・・・どうぞこっちに・・・・」
「・・・・っ」
トサッ。
強く手首を引っ張られてソロモンの下に組み敷かれる。目前にはソロモンの顔が。
慌てて視線を外せば、バスローブの隙間から彼の逞しい胸板が見える・・・。
恥ずかしくなって視線を上げれば、真剣なソロモンの瞳とぶち当たる。お風呂から上がっ
たばかりの水気を含んだ髪が、ふわりとした彼の雰囲気を変えていた。・・・・いやこれか
ら起こる「男」としての顔になっただけ・・・。
ソロモンから漂う甘いボディーソープの香りに意識をもっていかれそうになる・・・。
「・・・・効かないっておっしゃいましたね?・・・・・そうですね・・・・これからの
方が緊張してますから。今はそんな余裕がないのが本音なんです・・・・。」
「・・・・ソロ、モン・・・・」
彼から『余裕がない』なんて言葉を聞くなんておもわなかった・・・。
「・・・・もっと力抜いてください。別にとって食ったりしませんから」
「うん・・・」
「キスの時は、相手の顔をじろじろ見ない。」
ソロモンの香りに半ばぼーっとした私を彼は諭すようにして笑っていた。視界が急に暗く
なったかと思えばどうもソロモンが私の目を彼の手で覆ったようだ・・・。
「わかりました・・・」
「イイ子ですね。・・・」
目をつぶると少し瞼に光があたった。手を離してくれたようだ・・・。『わかった』と夢見
心地で相槌を返せば唇に彼の指の感触がして、唇の隙間に指をいれてくる・・・。
「ン・・・・」
吐息を漏らすのと同時に彼の口で今度は塞がれた。啄ばむように細かく何度も。
「ん・・・っ」
キスの応酬をしていると彼の舌が私の歯を割ってはいってくる。私の手首を掴んでいた手
はいつの間にか私の頭にきて、優しく何度も髪をなでていた。・・・まるで私の身体を愛撫
するかのように。
「んっ・・・はっ・・・」
彼の舌が私の口内を動くたびに身体がびくっと動く。
「・・・んっ・・・。そう・・・上手ですよ。・・・腕・・・首にまわしてください・・・。」
「・・・・こ、こう?」
そういいながらベットの端で押し倒されていたときのままの私の脚を持ち上げてベットの
真ん中へと移動してくれた。
何度も何度もキスをしていたから、ソロモンが口を離して話した時、自分達を繋ぐ橋のよ
うに透明な唾液がのびていた・・・。
「えぇ。でないとホックがとれにくいですから・・・イテッ。・・・叩かないで下さい。」
私の緊張をほぐす為に言ってくれているのかもしれないけど、ついつい胸板をそのまま叩
いてしまった。
「ご、ごめんなさい・・・。・・・・ソロモンあつい、ね。」
きまずいから話題転換もかねて「あつい」というと嬉しそうな声が上からした。
「貴女のせいですよ?」
「ソロモン・・・」  
そう言ってソロモンは自分のガウンの紐をとったので彼のガウンが大きくはだけて私にあ
たる・・・。むき出しになった彼の身体を、腕を伸ばして抱きしめた。
「!貴女って人は・・・・、ほんの少しの理性も吹き飛ばすつもりですか・・・。
・・・・・・貴女はもぅ、僕の物です。・・・誰にも盗られない様にしるしでもつけちゃい
ましょうか?・・・・?」
くすりと笑って私の身体中にキスマークを付けるように強く強く吸った。胸だったり太も
もであったり・・・。行為は次第に舌での愛撫に変わっていった。
「やっ!・・・ん・・はぁっ・・・ああぁ・・・・やぁ・・・・ん・・」
確実に自分の弱いところを攻めてくる・・・・・。
思わず声が漏れそうになるのをきつく目を閉じ、奥歯を噛み締める事で抑える。しかし私
のそんな反応をみて
「くすっ・・・身体そんなかたくして目を閉じて・・・ほんとかわいいですねは・・・。」
「でもだめです。許しませんよ。ちゃんと目を開けて僕をみて。・・・・その目で、
僕を、捉えてください。。」
そう言って強引に私の唇に指を入り込ませる。
「んんっ!!」
「ほら。ちゃんと僕を見て・・・」
「はぁっ・・・!ソロ・・モン・・・」
「じゃないと・・・『ココ』・・・いじわるしますよ?ふふっ」
薄く目を開くと舌で私の秘所に軽く触るソロモンが映った。
「!!んはぁっ・・・!だめ」
「なら、もっとちゃんと瞼をあけて・・・?貴女の瞳に、僕をとらえて下さい。」
目を開ければガウンを脱がされて一糸纏わぬ自分の姿と、大きく脚をひろげさせられ、そ
の太ももに愛おしそうにキスをしているソロモンが目に入った。
「んっ・・・・・ふっ・・・・・。・・・・ソロモンの顔が・・・・やだ・・。」
「・・・・いいですよ・・・・・・・・・その顔・・・・すごく・・・・いい・・・・。」
そう言って執拗に愛撫を繰り返す。自分の秘所にまで彼の舌が及ぶと、一段と大きな声が
でる。
「あんっ!!・・・そこは・・・だめだよぅ・・・はぁっ」
「・・・・っ!!もぅ・・・我慢できそうにないです!・・・貴女の中に入っても?」
きつく瞼を閉じ、かろうじて腕でひっかかっていただけのガウンを脱ぎ捨てる。
「ん、ソロモン・・・っ!お願い・・・っ」
首に腕をまわして力をこめる。
っ!!は・・・ぁ・・・んんん!!」
こんな時でも私を気遣ってゆっくりと中に入ってくる。
「!んんんっ」
深く私に口付けをしてきたので応えると、舌を強く吸われる・・・。
「んんっ・・・はぁっんんっ・・・!!!」
「はぁっ・・・はぁっ・・・ん・・・・。・・・・こっち向いてくださ・・・い・・。
目、閉じないで・・・・?」
「はぁっ・・・・ん・・・・そろ・・・もん?・・・・んぁっ!」
言われて目を開けると、ソロモンの、月の光をまるで糸にしたような金髪についている水滴
が激しい運動と共にきらきらと飛ぶ。まるで夢のような光景に目を奪われる。
この、しっとりと汗ばむ身体が今まさに自分と繋がっているだなんて信じられない。
「愛してます・・・愛してます!!!!」
今までゆっくりであった動きが、告白と共に激しくなり始める・・・・。
「はぁん!!そんないっぱい・・・はっあ!!!奥まで・・・・」
「んっ・・・・んっ・・・・も・・・もう・・・・・・・」
「気持ち・・・いいよっ」
たまらず言葉が漏れる。
「んっ・・・んっ・・・!!」
「うっ・・・はっあぁっあぁっぁあ!!!」
どんどん高みへと昇りつめていく感覚に、我を忘れてしまいそうになる。必死に自我を保
とうとソロモンの肩を抱く力がこもる。
「は・・・・あっ・・・っっ・・・・・・っ!!!!あ・・・・あっ・・・・あっ・・・・!!」
「はぁ・・・はぁ・・・・」
ソロモンの腰が動くたび、身体が大きく反り返って大きな声がもれてしまう。自分の嬌声
が耳に入ってくるのが恥ずかしくて目をきつく閉じる事で意識をそらすがソロモンの動き
が、それを許してくれない。
「あぁぁぁん・・・・・あんっあんぁ!!」
「も・・・もっもぅ限界です・・・・イキそうですっ・・っ!!一緒に・・・一緒に・・・
あっあっはぁん・・・・!!」
「うん、ソロモ・・・!!!んはぁっ!!!
彼の指が私の指に絡まってくる。繋がった指に力を入れると、両手とも絡めてきてより一
層激しい動きへと変わっていく。
「あ・・・・あああああ!!!!!!!!」
「・・・・んっ・・・・!!!」
脱力しても私に全体重を押し付けたりしないですぐ私の隣のスペースに倒れかかる。
「・・・んぁ・・いっぱい・・・あついよ・・・・」
すっかり腰がくだけてしまって力が入らない・・・・。身体中から熱があるんじゃないか
と思うほどあつい。とくにさっきまで繋がってた部分がいやに・・・。そう思って太もも
をこすりあわせながら訴えたのだが違う意味にとらえられたようだ。
「・・・・あっ!・・・・す・・・すみません中に出すつもりじゃ・・・」
めずらしくあのソロモンがこんなにかわいく慌てた姿なんて見たことないから『いいよ・・・。
ソロモンだから・・・』と笑って伝えるだけにとどめる。心の中ではかわいいと付け加えるの
は忘れなかった。
「・・・・・・・・。ありがとうございます。・・・クスッ。・・・きつく吸いすぎましたね。
身体中に赤いバラが散ってます。・・・痛くなかったですか?ほんとは首とかつけたか
ったんですけどね。胸元から太ももの付け根までに勘弁してあげましたよ。ふふっ。・・・
唇、乾いてますね・・・。・・・顔上げて?」
「ん・・・大丈夫・・・・んっ・・ソロモン・・・」
私の身体中についたキスマークを指でなぞりながら首すじに唇を落として囁く。さっきま
で抱き合っていたから、指が太もものキスマークにまでたどり着く頃には、簡単に身体は反
応して荒い吐息に変わっていった。請われるまま顔を向けると唇を潤してくれるように熱
く深い口付けをされる。そのときになってようやく唇がカラカラに乾いていた事を知る。
夢中になってキスをしていると彼の吐息も次第に熱を帯びてきた。
「・・・んっ・・・はぁ・・。・・・キス、上手になりましたね。」
唇を離すときに私の唇を軽く舌で舐めるようにして顔を離した。
「はぁっ・・・ソロモン仕込み・・・・」
「・・・嬉しい事言ってくれますね。あんまり僕を欲情させないで下さい。が壊れて
しまいます・・・。ただでさえさっき無理させたと思っているのに・・・。ところで・・・
たてますか?・・・その・・お風呂、入りたいでしょう?それともまた貴女はしたいんで
すか?」
そう言って意地の悪い笑みを浮かべると私を立たせようと手を引いてくれるが、立てない
上に太ももからつたってくる生暖かいものに気付き慌ててしゃがみこむ。
「ん・・・何か・・・出てる・・・っ・・!」
「わっ・・・・すみません・・・その・・・自制がきかなくって・・・。・・・・・あまり
がかわいらしすぎたから・・・・。申し訳ありません・・・・」
耳まで赤くして明後日の方を向いて言った。今日は本当にソロモンの意外な一面ばかりみ
ている気がした。自分しかしらないソロモンの顔を知った事に機嫌をよくしてにっこりと
一緒にお風呂に行こうか。と私から誘う。
「僕がつれていきますよ。・・・・・そのままじゃあね。」
そういって腰の抜けた私を微笑んで見下ろすとひょいと軽々と私をお姫様抱っこしてみせ
る。『今度はしっかりつかまってくださいね。』そう囁くと額にキスをする。
「わっ・・・ソロモン・・・っ」
「さっきのガウンですみませんがかけてください。寒いですから。・・・・あと、そんな誘
うような声・・・やめてください・・・また理性が飛びそうになります。」
「だって・・・おかしいんだもん・・・・か、体が・・・」
「・・・・『体が』、何です?」
私にガウンを渡す手が冷たく感じたのも、宝石のと負けないくらいの綺麗な蒼の瞳の奥に
きらりと光った鈍い緑の輝きも、きっと気のせいではない。でも見なかった事にする。
「・・・・今の貴女は特に全身から甘い香りがするんです。その声すら甘い蜜のようなん
です。・・・・御願いですから・・・これ以上は・・・。貴女に乱暴な事はしたくないんで
す・・・・。」
私を抱きかかえながらお風呂場へと向かうソロモンの顔を見上げれば本当に切なそうな顔
が見えた。それでも・・・・この身体の疼きをどうにかして欲しくて・・・。
「うん。・・・・・ソロモン・・・大好き・・・貴方になら・・・・構わない・・・」
そう言って首に回していた腕に力を込める。
「・・・・・・・・・・誘ったのは、・・・・・・貴女ですよ?泣いて懇願して、止めてといったって許しませんよ?」
「壊していいから・・・・っ!んっ!!」
耳元で私が叫ぶのと同時に下に降ろされ、乱暴に壁に押し付けられて唇を奪われる。
「・・・っっ!!」
深く深く、何度も貪るように唇を奪われる。先ほどまでのキスが嘘だったかのように荒々
しく何度も舌で口腔を蹂躙される。
「んんんっ・・・はっぁっ・・・んっ・・・」
両手はソロモンの手で吊るされた状態になっている。ガウンは上に元々かけていたからそ
んなものは床にとっくに落ちていて、産まれたままの姿を彼に晒していた。
『乱暴な事』を肯定するかのようにさっきまでの行為とはうってかわった荒々しいものへ
とすっかり変わっている。
舌で私の乳房をなめたり吸ったりしている間にもあいている左手は私の腰からゆっくりと
足元へとじらすように下がっている・・・。
「はっぁ・・・・ん・・・あぁぁぁん!!」
脚に力が入らないので座り込もうとしてもあの細い右手1本だけのどこにそんな力があるの
か、しっかりと私の両手を離さないので中途半端に両ひざをつきかけといった形になって
完全にソロモンにぶら下げられている形になる。
「綺麗ですよ・・・脚から流れている、貴女のモノと、僕のモノがこんなにも交じり合っ
て・・・あぁ・・・。」
「ソロ・・・モン・・・んはぁ・・・やだぁ・・・」
太ももから垂れているさっきの行為の名残を指ですくいとる。それを目前にして見たくな
いと目を潤ませる。が今の彼には逆効果だったようだ。
「・・・ほら。ちから入れて立ってて・・・?あぁ・・・いやらしいですね・・・
こんなに・・・・貴女の愛液がでてますよ・・・。」
「んんんっ・・・やぁ・・・っ」
首を振るも言葉で攻めることはやめない。恍惚とした表情をしながら彼は私の腰をもって
立たせようとする。すっかり身体中の力が抜けきってる私は、腰をソロモンに支えられな
がらぐったりと肩に身体をもたれるようにして預ける格好になってしまった。目を開けば
彼の金糸の髪が視界いっぱいに広がる。ぼーっとした頭で彼の言葉に、指に全神経が集中
してしまう。
「くすっ。興奮してるんですか?僕が言うたんびに透明な、甘い蜜がでてきてま
すよ・・・?・・・・・ほら、手で口を塞がない。・・・ちゃんと声、聞かせてください?」
『興奮している』という言葉に慌てて口元を手を覆うが元々身体に力など入っていないのだ
からあっさりとソロモンの手によって覆っていた手は払いのけられる。
「はぁん!っ・・・・ああっ・・・!」
ソロモンの繊細な指が私の中に入ってくる。1本・・・2本と増やされてはばらばらに動
かされるその動きにもう頭がどうにかなってしまいそうだ。
「も・・もぅ・・・・」
「・・・いいですよ・・・その顔、もっとよく見せて・・・?・・・ホラ、見てください。
指・・・こんなに入りましたよ?・・・・「も」?なんですか?」
涙で潤んだ瞳を彼に向けると意地の悪い声でこちらをみつめかえす。
「きちんと言わないと、してあげませんよ?ほら・・次は2本・・・・・。どんどん減ら
していきますよ?」
「!!やあぁっ・・・!もう・・お願・・・いんぅ・・」
もうとっくに立つ事ができてないでたてひざをついた状態でしがみついている私から指
を1本ずつぬいていく。
「くすっ・・・。そのつらそうな顔・・・ソソられます。かわいいですね。つい、いじめ
てしまいたくなります。その潤んだ瞳も、僕を欲しそうにねだる声もいいですね・・・。
普段は見れないからこそ、ゾクゾクします。・・・・『それで?』」
『どうして欲しいんですか?』と暗にきいている瞳を見て歯噛みする。視線を逸らして黙
ったままの私を見てソロモンはニヤリと笑ってから指を急に増やして激しく動かし始めた。
「!!!!やぁぁぁぁぁぁんっっっ!あっあっあっああっあぅ!!」
少しずつ冷めてきていた熱がこれによって再び高められて、もぅだめと思った時に急に動
かなくなって指が抜かれ始める。
「!?」
泣きそうになってみつめると『すごい濡れてますね・・・・。それで?止められると辛い
ですよね?どうして欲しいですか』と似た質問を繰り返されるだけだ。
「・・入れ・・て減らしちゃ・・・駄目だょう・・・・」
もぅ口に出して言ったのか、頭で浮かんだだけなのかすらわからない。分かったのは視界
に金糸の雨が降ったのかと思えばそれはソロモンの髪で、瞼にキスをされたらしいという
事だけだった。
「・・・・、いきますよ?」
「うん・・・・おねが・・」
「床ですけど・・・すみませんもぅ我慢できなくて・・・」
そういうと床に落ちていたガウンを私の下に引いて、股の間に脚をすべりこませる。
・・・脚・・・もっと開いて・・・?」
「う・・・ん・・・あぅ・・・・っ!」
ゆっくりと私の中に入ってくる。こんな時だけはやっぱり優しいままなんだとぼーっとし
た頭で思う。
「はぁっ・・・!!あっ・・・・あっ・・・!!さっきよ・・・りっ!!全然いいですっ!!
あっ・・・・っ!!」
「んんんあアアっ・・・・!!!」
胸を揉まれながら腰を動かされて、もぅ自分でも何を話しているのかわからなくなってき
ている。
ぴちゃぴちゃといやらしい水音が聴こえるのはどこからなのか、そんな簡単な事すらもぅ
わからないほど意識が混濁していた。
「あっ・・・・の中・・・・・すごくいい・・・・。はぁっ・・・はっ・・・」
そう言ってますます腰をふるソロモンの自分を呼ぶ声だけに無意識に反応して返す。
「はぁっ・・・・んっ・・・そろ・・・もん・・!!」
「・・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・・今度はこっちに・・・そう・・・上になっ
て?」
「う、うん・・・っここ・・・?んんっ・・・」
もぅわけがわからないまま腰を持ち上げられ私が上になる。と思ったら急に手を離された
ものだから重力に従って深く繋がる。
「やぁ・・・・っっっんっう」
「僕も動きますけど・・・も・・・一緒に・・・。あぁ・・・そう・・・そうです・・」
「んはっ!あぁ!やぁ!・・・」
「あっあっあっあっあぅ・・・あ・・あっっっ!!」
「あっあっあっあっ!そろ・・・もん!!」
!!!!・・・・」
ソロモンの言う通りに夢中で自分でも腰を動かしてる私の頭を掴んで深く口付けをして舌
をからませる。
「んはっぁ・・・・んっんんんっっ!!」
「・・・っっ!!!!」
そういうと私を下にして急に押し倒した。
「はぁぁっ・・・!!・・・はっん・・・」
「んっ!んっ!!んんっ!!!いいです!!はぁ・・・・は・・・・ああああ!!!!!
っ・・・・・!」
「んぁぁぁっ!!! そろもん!!ソロモン!!」
!!愛してます!!・・・・あぁぁぁぁ!!」
「私も・・・んぁぁ!!もうだ・・め・・イっちゃう!!ああっぁ・・・!」
ますます激しくなるのと同時に私達の汗も声も動きも、より一層大きいものへと変わる
「僕も・・・もぅ・・・もぅっ!!ああああああ!!!んっっつ!!」
「んはぁぁぁぁぁっっ・・・・!!!」
ソロモンは今度は私の上で果てたようで、私の身体の上に倒れ掛かってくる。それが嬉し
くてギュっとだきしめるとふふっと軽く笑っていた。
「・・・・んぅ・・・はぁ・・。はぁ・・・。・・・・僕達・・ほんとどうしようもないで
すね・・・。」
「・・・ソロモン・・・大好き・・・・っ・・」
大きく息を切らしながらソロモンを抱きしめると笑ってキスをしながら抱きしめ返してく
れる。
「僕も・・・愛していますよ・・・。まだ少しこのまま繋がっていたいんですが・・・が困りますよね・・・。」
「このままでもいいよ・・・さみしい・・」
まさか承諾されるとは思ってなかったらしく、嬉しいような、困ったような視線をむけな
がらまわりをみて、もう一度私を見ると観念したように肩をすくめる。
「でも・・・・ここは床で・・・・。・・・・くすっ。貴女のその顔にはかないません。」
「ん、ベッド行く・・・」
そう言って繋がったままの状態で私は彼の首に抱きついた。
「少しじゃあ一緒に横になっておきますか。でもこれだけは、はおってくださいね。貴女
の下に敷いてたガウン。・・・・その・・・ちょっと僕と貴女ので汚れてますけど・・・な
いよりは・・・。」
と下に敷いていたガウンを着せようとしてくれた。確かに下にあったからしわしわでくし
ゃくしゃだし、もぅ私のだかソロモンのだかどちらかのだかわからないくらい濡れてる所
もあったけど、ソロモンのだと思えば気持ち悪くもない。黙ってはおっていると遠慮がち
にもう一度きいてきた。『・・・・・やっぱりお風呂でなくていいですか?』と。
それでも今はこうして繋がっていたかったから、首をふった。
「ソロモン、ありがとう・・・ごめんね。後でいい・・・。」
「じゃあ姫君?ちょっとこの体勢はには怖いかもしれませんけど・・・しっかりつ
かまってくださいね。怖かったら目、つぶっててください」
ひとつ頷いて首にしっかりつかまる。確かに脚を開いた姿勢で、しかもつながったまま移
動するだなんて結構怖い。
「いきますよ?」
「うん。」
「1・2の3・・・・。・・・大丈夫ですか?ベッドまで動きますよ。」
「んっん・・大丈夫・・」
何度も気遣って聞いてくれるが、正直怖さよりも移動のたびに動いて伝わる衝動のが私に
はまだ問題だった。また熱がぶり返しそうだ。全くどうしようもない。そう思ってくすり
と笑うと上から心配そうな声がかかる。
「・・・・・・着きましたよ。・・・・?・・・・もぅ目を開けても大丈夫です。」
「ん・・・。ソロモン・・・」
気がつけばもぅベットの上でまだ繋がったままソロモンが上にのっていた。心配そうなソ
ロモンが愛おしくて笑顔でソロモンの方を向くと赤くなって視線を外される。
「・・・・。そんなかわいい声・・・ださないでください。また・・・してしまいそうに
なりますから・・・。もうこれ以上貴女をめちゃめちゃにしたくはないんです。貴女が大
切ですから。」
流石にこれ以上されては今度は失神してしまう。だから笑って頬にキスをした。
「くすっ・・・うんソロモンまた今度ね・・・」
「・・・ねましょうか。・・・・少し大きいですけど、とりあえず僕のガウン着て下さい。
風邪、ひきますよ?」
腰ごと持ち上げられて抱きしめられる。笑いながら抱きしめ返すとさっきソロモンが脱い
だガウンを手渡された。
「あったかぁい。」
「ふふっ。僕の愛情がこもってますから。だから重いでしょう?」
ははは。と軽く笑った後真剣な顔をして私に向きなおる。瞳は私を捕らえて離さない。あ
まりにも真剣な表情に視線を外せず、じっと見つめていると顔を両手で包みこまれた。
「・・・・・僕は貴女と出会えた事・・・貴女とこうして肌を重ねれた事、誰に感謝すれ
ばいいんでしょうか・・・。」
「幸せすぎて死にそう・・・」
「まだ早いですよ。まだまだ貴女は生きて生きて、「もぅ飽きたぁ」っていうくらい生きて
からにしてください。僕より貴女は確実に早いんですから・・・。」
くすりと笑って私の頬を愛おしそうになでてくれる。
「うん・・・ソロモンずっとそばに居てね・・・」
頬に添えられた手を包んで私も笑いかける。
「貴女が「もう近寄るな」っていってもいますよ。僕は貴女の傍にいます。僕は貴女のシ
ュヴァリエです。貴女の命が尽きるまで、貴女の心も、身体も護りますよ。僕の全身全霊
をかけて。・・・・・信じていらっしゃらないのですか?」
黙ったままの私を見て悲しそうに話すので慌てて首と手をふって否定する。
「そんな・・・!ソロモン・・・・大好きだよ。愛してるよ。」
「・・・クスッ。・・・初めて『愛してる』って・・・言ってくださいましたね?ずっと・・・・
ずっと・・・ずっとずっとその言葉が、聞きたかったんです。。僕も貴女を・・・愛
してますよ。」
「うん?ありがとう。」
軽く手を握られてとまどいながらも笑顔で返事をする。
「・・・・キス・・・・しても?」
「いいよ・・・。私は、はソロモン・ゴールドスミスを愛しています・・。」
「僕もですよ。・・・・・。ソロモン・ゴールドスミスはを、永遠に愛し、
護る事を誓います」

そう見つめあった私達はどちらからともなく目を閉じてキスをした。


〜 fin 〜

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